INTRODUCTION

なんでもない、だけど
二度と戻れない愛おしい日々を、
“ちょっと思い出しただけ”
照明スタッフの照生と、タクシードライバーの葉。
物語はふたりが別れてしまった後から始まり、時が巻き戻されていく。
愛し合った日、喧嘩した日、冗談を言い合った日、出会った日・・・
コロナ禍より前の世界に戻れないように、誰もが戻れない過去を抱えて生きている。
そんな日々を”ちょっと思い出しただけ”。

クリープハイプの尾崎世界観が自身のオールタイムベストに挙げるジム・ジャームッシュの名作映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』に着想を得て書き上げた、本作の主題歌『ナイトオンザプラネット』。

『バイプレイヤーズ』シリーズ、『くれなずめ』などこれまで仲間たちとの友情を描いてきた松居大悟監督がこの楽曲を受けて、初となる完全オリジナルラブストーリーを描き、第34回東京国際映画祭で観客賞/スペシャル・メンションW受賞。

主演には実力・人気を兼ね備え、これまで『君が君で君だ』などで松居監督作品にも多く出演してきた池松壮亮と、今や数々の作品から引く手数多の伊藤沙莉が初共演。その他タクシーの乗客たち、主人公2人が行きつけのバーマスターや常連など個性豊かな登場人物には、永瀬正敏、國村隼、尾崎世界観、河合優実、成田凌を筆頭に豪華キャストが出演する。

STORY

2021年7月26日、この日34回目の誕生日を迎えた佐伯照生(池松壮亮)は、朝起きていつものようにサボテンに水をあげ、ラジオから流れる音楽に合わせて体を動かす。ステージ照明の仕事をしている彼は、誕生日の今日もダンサーに照明を当てている。一方、タクシー運転手の葉(伊藤沙莉)は、ミュージシャンの男を乗せてコロナ禍の東京の夜の街を走っていた。目的地へ向かう途中でトイレに行きたいという男を降ろし、自身もタクシーを降りると、どこからか聴こえてくる足音に吸い込まれるように歩いて行く葉。すると彼女の視線の先にはステージで踊る照生の姿があった。

 時は遡り、2020年7月26日。照生は部屋でリモート会議をし、葉は飛沫シートを付けたタクシーをマスク姿で運転している。照生は誕生日の夜に誰もいない部屋で静かに眠りにつく。また一年遡り、誕生日を迎えた照生は、昼間は散髪屋で伸びた髪を切り、夜はライブハウスでの仕事を終えたあとに行きつけのバーで常連のフミオ(成田凌)とダンス仲間の泉美(河合優実)と飲んでいた。同じ頃、居酒屋で合コンをしていた葉は、煙草を吸いに店の外に出たところで見知らぬ男から声をかけられ、話の流れでLINEを交換することに。葉のアイコンを見た男が「あれ、猫飼ってるんですか?」と尋ねると、葉は「いや…今は飼ってないけど」と返し、続けて「向こうが引き取ったから」と切ない表情でポツリと呟く。彼女がLINEのアイコンにしていた猫は、いまも照生が飼っているモンジャだった…。

時は更に1年、また1年と遡り、照生と葉の恋の始まりや、出会いの瞬間が丁寧に描かれていく。不器用な2人の二度と戻らない愛しい日々を“ちょっと思い出しただけ”。

CAST

池松壮亮 (佐伯照生役)
伊藤沙莉 (野原葉役)
河合優実 (泉美役)
大関れいか (さつき役)
屋敷裕政(ニューヨーク) (康太役)
尾崎世界観 (ミュージシャンの男役)
市川実和子 (牧田役)
國村隼(友情出演) (中井戸役)
永瀬正敏 (ジュン役)
池松壮亮(佐伯照生役)
1990年7月9日、福岡県出身。2003年、ハリウッド映画『ラスト サムライ』(エドワード・ズウィック監督・脚本作品)で映画初出演。トム・クルーズ演じる主人公と心を通わす少年・飛源を演じて、第30回サターン賞では若手俳優賞にノミネートされた。以降、映画を中心に数多くの作品に出演し、多数の映画賞を受賞している。近年は海外作品への出演も多く、より活動の幅を広げている。近年の作品に『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17/石井裕也監督作品)、『君が君で君だ』(18/松居大悟監督・脚本作品)、『斬、』(18/塚本晋也監督作品)『宮本から君へ』(19/真利子哲也監督作品)、『アジアの天使』(21/石井裕也監督作品)など。待機作に映画『シン・仮面ライダー』(23/庵野秀明監督作品)がある。
松居大悟監督が手がけたクリープハイプのシングル「憂、燦々」(13)のMVにも出演している。
伊藤沙莉(野原葉役)
1994年5月4日、千葉県出身。2003年、ドラマデビュー。2020年、テレビアニメ「映像研には手を出すな!」やドラマ「これは経費で落ちません!」「ペンション・恋は桃色」などでの活躍を評価され、第57回ギャラクシー賞テレビ部門個人賞、東京ドラマアウォード2020で助演女優賞、21年は映画『劇場』『ステップ』『タイトル、拒絶』『ホテルローヤル』『十二単衣を着た悪魔』などにより第63回ブルーリボン賞助演女優賞、そして第45回エランドール賞新人賞の栄誉に輝いた。近年の出演作に連続テレビ小説「ひよっこ」(17)、「全裸監督」(19、21)、「いいね!光源氏くん」(20、21)、「大豆田とわ子と三人の元夫」(21/ナレーション)、「モモウメ」(21)、「ミステリと言う勿れ」(22)、映画「ボクたちはみんな大人になれなかった」(21)、「シチリアを征服したクマ王国の物語」(22/日本語吹替版)、舞台「首切り王子と愚かな女」(21)など。初フォトエッセイ「【さり】ではなく【さいり】です。」(21)を刊行。22年はドラマ「拾われた男」がDisney+で配信されるなど今後の活躍が期待されている。
河合優実(泉美役)
2000年12月19日、東京都出身。2019年デビュー。映画、ドラマ、CM、モデルなど多岐にわたり活躍。2020年、舞台「フリムンシスターズ」(松尾スズキ演出)では、特技の歌やダンスを生かしてミュージカルに初挑戦し堂々とした演技をみせた。主な出演作品に『佐々木、イン、マイマイン』(20/内山拓也監督)、『サマーフィルムにのって』(21/松本壮史監督)、『由宇子の天秤』(21/春本雄二郎監督)、『偽りのないhappy end』(21/松尾大輔監督)がある。今後の公開待機作品に『愛なのに』(22年2月25日公開/城定秀夫監督)がある。
大関れいか(さつき役)
1997年1月16日、東京都出身。Vineにて「日本一フォロワーを持つ女子高生」として人気を博し、インフルエンサーの枠を超え、ラジオパーソナリティー、CM出演など、メディアでも幅広く活動を行った経験もあり、女優としても、松居大悟監督の過去作『私たちのハァハァ』(15)『君が君で君だ』(18)以来3作目の松居組参加となり、本作でも『私たちのハァハァ』と同名のさつき役として出演する。
屋敷裕政(ニューヨーク)(康太役)
1986年3月1日、三重県出身。2010年、相方の嶋佐和也と結成したお笑いコンビ・ニューヨークのツッコミ担当。M-1グランプリ2019・2020、キングオブコント2020・2021のファイナリストなど近年の賞レースで着々と結果を残し、多数のメディアに出演中。レギュラー番組にテレビ朝日「NEWニューヨーク」、「まだアプデしてないの?」、「マッドマックスTV」、TBS「ラヴィット」などがある。
尾崎世界観(ミュージシャンの男役)
1984年11月9日、東京都出身。2001年結成のロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル・ギター。2012年、アルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」でメジャーデビュー。2016年、小説「祐介」を上梓。2020年に発表した4年半ぶりの小説「母影(おもかげ)」が、第164回芥川賞候補となり話題となった。その他バラエティのMCや、ラジオパーソナリティなど多岐にわたる活躍を見せている。本作は自身が作詞作曲した主題歌「ナイトオンザプラネット」をもとに、松居大悟監督が書き下ろした物語である。
市川実和子(牧田役)
1976年生3月19日、東京都出身。モデル・女優として活躍。出演作に、『八日目の蟬』(11/成島出監督)、『はやぶさ/HAYABUSA』(11/堤幸彦監督)、『まほろ駅前狂騒曲』(14/大森立嗣監督)、『猫なんかよんでもこない。』(16/山本透監督)、『溺れるナイフ』(16/山本結希監督)、『⻘葉家のテーブル』(21/松本壮史監督)『ずっと独⾝でいるつもり?』(21/ふくだももこ監督)などがある。
國村隼(友情出演)(中井戸役)
1955年11月16日、大阪府出身。1981年に井筒和幸監督作『ガキ帝国』で映画デビュー。『MINAMATA−ミナマタ-』( 21)、 Netflix『KATE/ケイト』(21)、『キル・ビル vol.1』( 03)、『ミッドウェイ』(20)など海外作品での活躍も数多くNetflix全世界配信ドラマ『全裸監督1・2』( 19/21)にも出演。近年の映画出演作は『地獄でなぜ悪い』(13)、『かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-』『泣き虫しょったんの奇跡』(18)、『アルキメデスの大戦』(19)、『ステップ』(20)、『樹海村』『騙し絵の牙』『映画 太陽の子』(21)など。ʼ22 年は主演作『再会の奈良』などが公開予定。韓国映画「哭声/コクソン」(17)では韓国・第37回⻘龍映画賞の男優助演賞と人気スタ−賞、「2016 APAN STAR AWARDS」特別俳優賞を受賞している。
永瀬正敏(ジュン役)
1966年7月15日、宮崎県出身。1983年、映画『ションベン・ライダー』でデビュー。『息子』(91)で日本アカデミー賞新人俳優賞・最優秀助演男優賞他、計8つの国内映画賞を受賞。その後日本アカデミー賞は、優秀主演男優賞1回、優秀助演男優賞2回受賞。 海外作品にも多数出演しカンヌ国際映画祭・最優秀芸術貢献賞『ミステリー・トレイン』(89)、ロカルノ国際映画祭・グランプリ『オータム・ムーン』(91)、リミニ国際映画祭グランプリ、トリノ映画祭審査員特別賞『コールド・フィーバー』(95)では主演を努めた。台湾映画『KANO』(15)では、金馬奨で中華圏以外の俳優で初めて主演男優賞にノミネートされ、『あん』(15)、『パターソン』(16)、『光』(17)でカンヌ国際映画祭に3年連続で公式選出された初のアジア人俳優となった。近作は『茜色に焼かれる』(21)、『名も無い日』(21)など。公開待機作に『ノイズ』(2022年1月28日公開)、『再会の奈良』(2022年2月4日公開)『ホテルアイリス』(2022年2月18日公開)などがある。2018年芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

STAFF

監督・脚本:松居大悟
撮影:塩谷大樹
照明:藤井勇
録音:竹内久史
美術:相馬直樹
編集:瀧田隆一
劇伴:森優太
スチール:E-WAX
主題歌:クリープハイプ
「ナイトオンザプラネット」
監督・脚本:松居大悟
1985年11月2日、福岡県出身。劇団ゴジゲン主宰。12年、初監督作『アフロ田中』が公開。その後、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』(13)『スイートプールサイド』(14)など作品を発表し、『ワンダフルワールドエンド』(15)で第65回ベルリン国際映画祭出品、『私たちのハァハァ』(15)でゆうばり国際ファンタスティック映画祭2冠受賞。このほか『アズミ・ハルコは行方不明』(16、第29回東京国際映画祭コンペティション部門出品、ロッテルダム国際映画祭2017出品)、『君が君で君だ』(18、上海国際映画祭 ガラ部門正式出品)、テレビ東京「バイプレイヤーズ」シリーズのメイン監督も務める。また『アイスと雨音』(18)では1か月間の物語を74分1カットで撮る斬新な手法も話題となった。2021年は、監督・脚本を務めた『くれなずめ』、演出を手掛けた舞台PARCO PRODUCE『Birdland』などがある。
撮影:塩谷大樹
1983年生まれ。映画作品では『男子高校生の日常』(13)、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』(13)、『私たちのハァハァ』(15)、『アズミハルコは行方不明』(15)、『アイスと雨音』(18)、『君が君で君だ』(18)他多数、MVでは池松壮亮が出演したクリープハイプの「憂、燦々」など、これまで数々の松居大悟監督作品の撮影を担当。その他、多岐にわたりCM、MVを手がけている。
照明:藤井勇
福岡県生まれ。平成21年に設立された株式会社照太郎に所属する。熊谷秀夫、上田なりゆきらに師事し、2002年に技師としてデビュー。主な作品に、『桐島、部活やめるってよ』(12/吉田大八監督)、『私の男』(14/熊切和嘉監督)など。2019年、是枝裕和監督の『万引き家族』(19)にて、第42回日本アカデミー賞最優秀照明賞を受賞する。近作は『おらおらでひとりいぐも』(20/沖田修一監督、『名も無き世界のエンドロール』(21/佐藤祐市監督)、『彼女が好きなものは』(21/草野翔吾監督)がある。
録音:竹内久史
1978年生まれ。主な作品に、ドラマ「全裸監督」、映画『君が君で君だ』(18/松居大悟監督作)、『ちはやふる 結び』(18/小泉徳宏監督作)、『ハード・コア』(18/山下敦弘監督作)、『デイアンドナイト』(19/藤井道人監督作)、『3人の信長』(19/渡辺啓監督作)、『見えない目撃者』(19/森淳一監督作)、『ライアーライアー』(21/耶雲哉治監督作)、『くれなずめ』(21/松居大悟監督作)がある。
美術:相馬直樹
1964年生まれ。東宝特撮美術で美術助手を経験した後、池谷仙克氏に師事。CM、映画、ミュージックビデオなどの映像美術を多数手掛ける。主な作品に、『海猿 ウミザル』(04)、『20世紀少年』シリーズ(08〜09)、『はやぶさ/HAYABUSA』(11)、『天空の蜂』(15)、『窮鼠はチーズの夢を見る』(20)、『劇場』(20)、『HOKUSAI』(21)など。
編集:瀧田隆一
1983年生まれ、東京都出身。日本映画学校(現・日本映画大学)卒業。
映画・ドラマだけでなくTVCMやミュージックビデオなど幅広く手がけている。主な映画作品に『映画 鈴木先生』(13/河合勇人監督作)、『リトル・フォレスト 夏/秋』(14/森淳一監督作)、『リトル・フォレスト 冬/春』(15/森淳一監督作)、『はなちゃんのみそ汁』(15/阿久根知昭監督作)、『羊と鋼の森』(18/橋本光二郎監督作)、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(19/河合勇人監督作)、『見えない目撃者』(19/森淳一監督作)、『#ハンド全力』(20/松居大悟監督作)、『くれなずめ』(21/松居大悟監督作)などがある。
劇伴:森優太
1985年生まれ。主な作品に『#ハンド全力』(20/松居大悟監督作)、『恋するけだもの』(20/白石晃士監督作)、『ホリミヤ』(21/松本花奈監督作)、『くれなずめ』(21/松居大悟監督作)、『明け方の若者たち』(2021年12月31日公開予定/松本花奈監督作)などがある。また、連続ドラマ『グッド・バイ』(18年/テレビ大阪・BSテレ東)、舞台『muro式.5~10』(11~18/主催:ムロツヨシ)、劇団ゴジゲンの全作品など、舞台、ドラマの劇伴音楽も制作。
スチール:E-WAX
写真家・ペインター。Major Forceの創設者であり、サウンドクリエーターのK.U.D.Oを父に持つ。3歳から8年間ロンドンで幼少期を過ごす。21歳まで続けていたサッカーをやめ、絵を書き始める。22歳で宮下貴裕と再会し上京。TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.のショップマネージャーを勤め、その時写真とも出会う。東京、福岡などで個展を開催し、27歳からニューヨークで本格的にアーティスト活動をはじめ2018年にはイタリアのニットブランドMISSONI とコラボをはたす。2020年30歳で日本に帰国後東京を拠点に活動。現在はライフワークであるドキュメンタリーフォトを中心に個展やファッション雑誌などにも活躍の場を広げる。
主題歌: クリープハイプ 
「ナイトオンザプラネット」
尾崎世界観(Vo/Gt)、小川幸慈(Gt)、長谷川カオナシ(Ba)、小泉拓(Dr)からなる4人組ロックバンド。2012年、アルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビュー。2014年には日本武道館2days公演を行うなど、シーンを牽引する存在に。2018年の5月11日には約4年ぶりとなる2度目の日本武道館公演「クリープハイプのすべて」を開催。同年、9月に5thオリジナルAL『泣きたくなるほど嬉しい日々に』を発売。2021年12月には約3年3ヶ月ぶりとなるニューアルバム『夜にしがみついて、朝で溶かして』をリリース。
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